要旨
写真では、F 値を $\sqrt{2}$ 倍ずつ変えると像の明るさが半分ずつ変わるとされる。本稿は、像の照度が射出側の半角の正弦の二乗に比例することから出発し、その「半分ずつ」がどの測り方で厳密か、測り方を替えるとどれだけ外れるか、F 値にどこまで小さい値があり得るかを数える。新しい定理も法則も主張しない。
第一に、半角を正弦で測れば、照度はちょうど半分ずつ減る。F 値を半角の正弦の逆数の半分と置くと、照度は F 値の二乗に反比例し、$\sqrt{2}$ 刻みの $11$ 段で比は $2$ から $4.4\times10^{-16}$ しか外れなかった。F1 と F16 の比は $\mathbf{256.000000}$ である(第2節)。
第二に、F 値 $0.5$ で像側の半球全体から光が来る。そのとき半角は $90$ 度、照度は $\pi$($3.141593$)で、F 値をそれより小さくすると正弦が $1$ を超え、空気中では作れない(第2節)。
第三に、半角を正接で測ると、明るい側で外れる。正接で測った照度と正弦で測った照度の比は、F 値 $0.5$ で $0.500000$、$1$ で $\mathbf{0.800000}$、$2$ で $0.941176$、$16$ で $0.999024$ で、F1 と F16 の比は $\mathbf{205.000000}$ だった(第3節)。
第四に、照度が見ているのは立体角ではなく投影立体角である。射出の円錐の立体角に対する投影立体角の比は、F 値 $0.5$ で $0.500000$、$1$ で $0.933013$、$2$ で $0.984123$ だった(第4節)。
第五に、分離子は、開口の半角を正弦で測るか正接で測るかである。正弦で測れば F 値の二乗の法則は厳密で、F 値の下限は $0.5$ になる。正接で測ると暗い側では同じ値に近づくが、明るい側ほど二乗の法則から外れる(第5節)。
キーワード:F値、像面照度、正弦条件、開口数、投影立体角、写真レンズ。
射程(何を示さないか)
新しい定理も法則も主張しない。像の照度が射出側の半角の正弦の二乗に比例すること、正弦条件、有効 F 値と開口数の関係、投影立体角は、いずれも標準的である。軸上だけを扱う。画面の周辺での明るさの低下、口径食、透過率、反射の損失は入れない。レンズを設計しない。収差を計算せず、正弦条件を満たすかどうかを二つの測り方として置くだけである。実在のレンズを論じない。製品の F 値の表記や、どのレンズが明るいかは扱わない。空気中に限る。像側が屈折率 $1$ の媒質だとして下限を言う。既刊との関係:論文358 は、被写界深度の深さが測定値ではなく約束であることを示した。ここでは、同じ F 値が明るさについてはどの測り方で厳密になるかを数える。論文757 は、解像を波長・開口数・係数のどれで買うかで焦点深度の払いが違うことを示した。ここでは開口数と同じ正弦が、明るさの F 値の二乗の法則と下限 $0.5$ を決めることを数える。論文918 は、アンテナの利得が $4\pi$ の立体角への配り方を測る比であることを示した。ここでは、像の照度が立体角ではなく投影立体角を見ていて、F 値 $0.5$ で半球の投影立体角 $\pi$ に届くことを数える。加えたのは、正弦で測る照度が $\sqrt{2}$ 刻みでちょうど半分ずつになることを確かめたこと、F 値の下限 $0.5$ で照度が $\pi$ になることを示したこと、正接で測ったときの外れを並べたこと、立体角と投影立体角の比を出したこと、分離子を「正弦で測るか正接で測るか」に置いたことである。
1. 記法と問い
設定:輝度 $L$ の面を写すとき、像の照度は射出側の半角 $\theta’$ で次のように書ける(透過率を $1$ とする)。F 値 $N$ を正弦で測る置き方と正接で測る置き方を並べる。
$$E=\pi L\sin^2\theta’,\qquad \sin\theta’=\frac{1}{2N}\ \Rightarrow\ E=\frac{\pi L}{4N^2},\qquad \tan\theta’=\frac{1}{2N}\ \Rightarrow\ E=\frac{\pi L}{1+4N^2}$$
正弦で測る置き方は正弦条件を満たすレンズ、正接で測る置き方は主平面が平らなレンズの幾何に当たる。検算では $L=1$ と置き、F 値を $0.5$ から $16$ まで $\sqrt{2}$ 刻みで動かした。
問い:F 値の二乗で明るさが半分ずつ変わるのは、どの測り方で厳密か。F 値はどこまで小さくできるか。
2. 正弦で測る
計算 2.1:F 値ごとの照度と半角。
| F 値 | 正弦で測る照度 | 正接で測る照度 | 正接÷正弦 | 半角(正弦・度) | 半角(正接・度) |
|---|---|---|---|---|---|
| $0.500000$ | $3.141593$ | $1.570796$ | $0.500000$ | $90.0000$ | $45.0000$ |
| $0.707107$ | $1.570796$ | $1.047198$ | $0.666667$ | $45.0000$ | $35.2644$ |
| $1.000000$ | $0.785398$ | $0.628319$ | $0.800000$ | $30.0000$ | $26.5651$ |
| $1.414214$ | $0.392699$ | $0.349066$ | $0.888889$ | $20.7048$ | $19.4712$ |
| $2.000000$ | $0.196350$ | $0.184800$ | $0.941176$ | $14.4775$ | $14.0362$ |
| $2.828427$ | $0.098175$ | $0.095200$ | $0.969697$ | $10.1821$ | $10.0250$ |
| $4.000000$ | $0.049087$ | $0.048332$ | $0.984615$ | $7.1808$ | $7.1250$ |
| $5.656854$ | $0.024544$ | $0.024353$ | $0.992248$ | $5.0709$ | $5.0512$ |
| $8.000000$ | $0.012272$ | $0.012224$ | $0.996109$ | $3.5833$ | $3.5763$ |
| $11.313708$ | $0.006136$ | $0.006124$ | $0.998051$ | $2.5330$ | $2.5305$ |
| $16.000000$ | $0.003068$ | $0.003065$ | $0.999024$ | $1.7908$ | $1.7899$ |
正弦で測る照度は $\sqrt{2}$ 刻みで比 $2$ から最大 $4.4\times10^{-16}$ しか外れず、F1 と F16 の比は $\mathbf{256.000000}$ だった。F 値 $0.5$ の照度は $\pi$ と差 $0$ で一致した。
観察 2.2 半角を正弦で測れば、F 値の二乗の法則は厳密で、下限は $0.5$ である。F 値 $0.5$ で半角は $90$ 度になり、光は像側の半球全体から来る。それより小さい F 値は正弦が $1$ を超える値を求めるので、空気中の像側では作れない。
3. 正接で測る
計算 3.1:正接で測った照度と正弦で測った照度の比は $4N^2/(1+4N^2)$ で、F 値 $1$ で $\mathbf{0.800000}$ と差 $0$ で一致した。F1 と F16 の照度の比は $\mathbf{205.000000}$ だった。
観察 3.2 半角を正接で測ると、明るい側ほど二乗の法則から外れる。F 値 $16$ では比は $0.999024$ で二つの測り方はほとんど同じだが、F 値 $1$ では $0.8$、$0.5$ では半分になる。正接で測る置き方では、F 値をいくら小さくしても半角は $90$ 度に届かず、照度は $\pi$ に届かない。
4. 立体角と投影立体角
計算 4.1:射出の円錐(正弦で測る半角)の立体角と投影立体角。
| F 値 | 立体角 | 投影立体角 | 投影÷立体角 |
|---|---|---|---|
| $0.5$ | $6.283185$ | $3.141593$ | $0.500000$ |
| $1.0$ | $0.841787$ | $0.785398$ | $0.933013$ |
| $2.0$ | $0.199517$ | $0.196350$ | $0.984123$ |
観察 4.2 照度が見ているのは、立体角ではなく投影立体角である。F 値 $0.5$ の円錐は半球で立体角は $2\pi$ だが、斜めから来る光は像面に斜めに当たるぶん弱まり、照度に効くのは投影立体角 $\pi$ である。F 値が大きく円錐が細いほど、二つの角はそろう。
5. 分離子
観察 5.1 分離子は、開口の半角を正弦で測るか正接で測るかである。正弦で測れば照度は F 値の二乗に厳密に反比例し、F 値の下限は $0.5$ で、そこで照度は $\pi$ になる。正接で測ると F1 と F16 の比は $256$ ではなく $205$ になり、明るい側ほど外れる。暗い側では二つの測り方の差は消える。
観察 5.2 言わないこと。収差の計算、画面の周辺の明るさ、透過率、実在のレンズの表記は扱わない。示したのは、F 値の二乗の法則が正弦で測るときに厳密であり、そのとき空気中の F 値は $0.5$ を下回れないことである。
6. 点呼と結び
- $E=\pi L\sin^2\theta’$(第1節):正弦の二乗。
- $\sqrt{2}$ 刻みで比 $2$・F1 と F16 で $\mathbf{256.000000}$(計算 2.1):厳密に半分ずつ。
- F 値 $0.5$ で照度 $\pi$(計算 2.1):半球全体・下限。
- 正接÷正弦が F 値 $1$ で $\mathbf{0.800000}$(計算 3.1):明るい側で外れる。
- 正接で F1 と F16 の比 $\mathbf{205.000000}$(計算 3.1):$256$ にならない。
- 投影÷立体角 $0.500000$・$0.933013$・$0.984123$(計算 4.1):投影立体角を見る。
- 正弦か正接か(観察 5.1):分離子・論文358・757・918。
結び:明るさが F 値の二乗で決まるのは半角を正弦で測るときで、空気中の F 値は $0.5$ を下回れない。正弦で測れば、照度は $\sqrt{2}$ 刻みでちょうど半分ずつ減り、F1 と F16 の比は $256$ だった。F 値 $0.5$ で半角は $90$ 度、照度は半球の投影立体角 $\pi$ に届き、それより小さい F 値は空気中では作れない。正接で測ると、F 値 $1$ で照度は $0.8$ 倍になり、F1 と F16 の比は $205$ だった。分離子は、開口の半角を正弦で測るか正接で測るかである。既刊との位置:論文358 が約束だと示した F 値の深さの側に対し明るさの側の厳密さを数え、論文757 の開口数と同じ正弦が下限を決めることを示し、論文918 の立体角の配り方に投影立体角を並べた。正直に言えば、レンズの良し悪しは言わない。二乗の法則がどの測り方で厳密か、そこまでである。
参考文献
- Born, M., & Wolf, E. (1999). Principles of Optics. Cambridge University Press.
- Kingslake, R. (1978). Lens Design Fundamentals. Academic Press.
- 山岸勇輝 (2026). 『被写界深度の「深さ」は、測定値ではなく約束である』[論文358]. YOI: https://www.yamagishiyuuki.com/yoi/358 ・ DOI: 10.5281/zenodo.22697216
- 山岸勇輝 (2026). 『解像を三つの量のどれで買うかで、焦点深度の払いが違う』[論文757]. YOI: https://www.yamagishiyuuki.com/yoi/757 ・ DOI: 10.5281/zenodo.23015169
- 山岸勇輝 (2026). 『アンテナの利得は全方向で平均すると $1$ で、半値幅から利得を出す係数は裾の電力で変わる』[論文918]. YOI: https://www.yamagishiyuuki.com/yoi/918
作成にあたって:本稿の着想と内容は、著者自身の考察に基づくものです。文章の構成整理や英訳、数式の確認には AI(大規模言語モデル)の助力を得ました。最終的な内容の解釈や誤りがあれば、それらはすべて著者の責に帰します。お気づきの点があれば、ご教示いただければ幸いです。
書誌
山岸勇輝(2026)「明るさが F 値の二乗で決まるのは半角を正弦で測るときで、空気中の F 値は 0.5 を下回れない」[論文923]. YOI: https://www.yamagishiyuuki.com/yoi/923
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住所:https://www.yamagishiyuuki.com/yoi/923・CC BY 4.0・プレプリント(査読を経ていません)・ORCID 0009-0006-8587-3450
引用するとき
山岸勇輝 (2026). 明るさが F 値の二乗で決まるのは半角を正弦で測るときで、空気中の F 値は 0.5 を下回れない [論文923]. YOI: https://www.yamagishiyuuki.com/yoi/923
Yamagishi, Y. (2026). Brightness Follows the Square of the F-Number When the Half-Angle Is Measured by Its Sine, and in Air the F-Number Cannot Go Below 0.5 [Paper 923]. YOI: https://www.yamagishiyuuki.com/yoi/923
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author = {Yamagishi, Yuuki},
title = {Brightness Follows the Square of the F-Number When the Half-Angle Is Measured by Its Sine, and in Air the F-Number Cannot Go Below 0.5},
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指紋(SHA-256)と確かめ方
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