要旨
ソーマキューブは、三つの立方体でできた片一つと四つの立方体でできた片六つで $3\times3\times3$ の立方体を埋めるパズルである。本稿は、解をすべて数え、立方体を市松に塗ったときに各片が二色をどう覆うかを数え、色の勘定が許す組と実際に解がある組を比べる。新しい定理も法則も主張しない。
第一に、解は向きと位置を区別して 11520、回転と鏡映で重ねて 240 で、自分と重なる解は無い。回転だけで重ねると $480$ で、回転と鏡映で重ねた $240$ の組はどれも $48$ 個の解からなっていた(第2節)。
第二に、色の差を持つのは V・T・P の三片だけである。偶数のます $14$ と奇数のます $13$ に塗ると、L・Z・A・B はどう置いても二色を $2$ つずつ覆い、V は差 $1$、T と P は差 $2$ を持つ(第3節)。
第三に、色の勘定が許す組は二通りある。全体の差 $+1$ を作れるのは、V が $+1$ で、T と P が $+2$ と $-2$ を逆向きに分ける二通りだけである(第3節)。
第四に、解はすべて一方の組にあり、もう一方には一つも無い。$11520$ の解はすべて T が $+2$・P が $-2$ で、T を $-2$・P を $+2$ に限って探すと、節 $140415$ を調べて解は $0$ だった。解のある組に限ると探索の節は制限なしの $\mathbf{0.395194}$ 倍だった(第3節)。
第五に、分離子は、色の差で数えるか、形を実際に組んで探すかである。色の勘定は解の在りうる組を二つに絞るが、どちらに解があるかは言わない。それを決めたのは、片を実際に組んで探すことだった(第4節)。
キーワード:ソーマキューブ、ポリキューブ、市松の色、敷き詰め、対称性、全探索。
射程(何を示さないか)
新しい定理も法則も主張しない。ソーマキューブの七つの片、解が $240$ 通り(向きと位置を区別して $11520$)であること、市松の色で片の置き方を絞る考え方は、いずれも既知である。理由を主張しない。T を $-2$・P を $+2$ に置く組に解が無いことは探索で数えただけで、なぜ無いかの説明はしない。ほかの形を扱わない。$3\times3\times3$ 以外の形を作る問題、ほかの片の組は扱わない。解き方を勧めない。人が解くときの手順や難しさは論じない。既刊との関係:論文925 は、ペグソリティアで変わらない和が最後の一本の残れる場所を五か所に絞り、五か所とも実際に残せることを示した。ここでは、色の勘定が許す二通りのうち、実際に解があるのは一通りだけだった。論文847 は、裏返しを同じと見るかで形の数が変わることを示した。ここでは解の数が、すべて区別すると $11520$、回転で重ねると $480$、鏡映も重ねると $240$ と変わる。加えたのは、解をすべて数えて対称で重ねた数と軌道の大きさを出したこと、片ごとの色の差を数えたこと、色の勘定が許す二通りを並べ、解のある組と無い組を探索で分けたこと、探索の節の数を比べたこと、分離子を「色の差で数えるか、形を実際に組んで探すか」に置いたことである。
1. 記法と問い
片:V は三つの立方体を L 字に並べた片、L・T・Z は四つの立方体を平面に並べた片、A・B・P は V の上に立方体を一つ載せた立体の片である。A と B は鏡に映すと重なり、回転では重ならない。四つの立方体でできる形は回転で区別すると $8$ 種、鏡映も同じと見ると $7$ 種で、L・T・Z・A・B・P はその $8$ 種から一直線と正方形を除いた $6$ 種である(検算で確かめた)。
色:$3\times3\times3$ のますを座標の和の偶奇で塗ると、偶数のますは $14$(角 $8$・面の中心 $6$)、奇数のますは $13$(辺の中点 $12$・中心 $1$)である。片の色の差を「覆った偶数のます − 奇数のます」とする。全部の片の差を足すと $14-13=+1$ になる。
探し方:片の置き方をすべて作り、まだ埋まっていないいちばん番号の小さいますを覆う置き方を順に試す。解はすべて数える。
問い:色の勘定は、解がどの組にあるかをどこまで決めるか。
2. 解の数と対称
計算 2.1:置き方の数は V $144$・L $144$・T $72$・Z $72$・A $96$・B $96$・P $64$。解は向きと位置をすべて区別して $11520$ だった。
| 重ね方 | 解の数 |
|---|---|
| すべて区別 | $11520$ |
| 回転($24$ 個)で重ねる | $480$ |
| 回転と鏡映($48$ 個)で重ねる | $240$ |
観察 2.2 自分と重なる解は一つも無い。回転と鏡映で重ねた $240$ の組はどれも $48$ 個の解からなり、$11520\div48=240.000000$ だった。鏡に映すと A と B が入れ替わるので、映した解も同じ七片の解になる。どの解も、自分以外の $47$ 個に移る。
3. 色の差
計算 3.1:片ごとの覆い方(偶数・奇数)。
| 片 | 覆い方 | 色の差 |
|---|---|---|
| L・Z・A・B | $2$・$2$ だけ | $0$ |
| V | $2$・$1$ か $1$・$2$ | $+1$ か $-1$ |
| T | $3$・$1$ か $1$・$3$ | $+2$ か $-2$ |
| P | $3$・$1$ か $1$・$3$ | $+2$ か $-2$ |
V・T・P の置き方は、それぞれちょうど半分ずつが正の差を持つ(V $72$ と $72$、T $36$ と $36$、P $32$ と $32$)。
観察 3.2 色の勘定が許す組は二通りである。V・T・P の差を足して $+1$ にするには、V が $+1$ でなければならず、T と P は $+2$ と $-2$ を逆向きに分ける。許されるのは(V・T・P)=($+1$・$+2$・$-2$)と($+1$・$-2$・$+2$)の二通りである。
計算 3.3:解の中の組と、組を限った探索。
| 探し方 | 解 | 調べた節 | 制限なしに対する節の比 |
|---|---|---|---|
| 制限なし | $11520$ | $861285$ | $1$ |
| V $+1$・T $+2$・P $-2$ | $11520$ | $340375$ | $\mathbf{0.395194}$ |
| V $+1$・T $-2$・P $+2$ | $0$ | $140415$ | $0.163030$ |
観察 3.4 解はすべて一方の組にあり、もう一方には一つも無い。$11520$ の解を一つずつ見ると、組はすべて($+1$・$+2$・$-2$)だった。色の勘定だけではもう一方の組も許されるが、そちらに限って探すと節 $140415$ を調べて解は $0$ だった。
4. 分離子
観察 4.1 分離子は、色の差で数えるか、形を実際に組んで探すかである。色の差で数えると、V の向きは一つに決まり、T と P は二通りに絞られる。そのどちらに解があるかは色の勘定からは出ず、片を実際に組んで探して初めて、一方が $11520$、もう一方が $0$ と分かった。
観察 4.2 言わないこと。T を $-2$ に置く組に解が無い理由、$3\times3\times3$ 以外の形、人が解くときの手順は扱わない。示したのは、色の勘定が許す二通りのうち、実際に解があるのは一通りだけだったことである。
5. 点呼と結び
- 七つの片と市松の色の差(第1節):全体の差は $+1$。
- 解 $11520$・$480$・$240$(計算 2.1):自分と重なる解は無い。
- 差を持つのは V・T・P(計算 3.1):$\pm1$ と $\pm2$。
- 許される組は二通り(観察 3.2):T と P が逆向き。
- 一方に $11520$、もう一方に $0$(計算 3.3):節の比 $\mathbf{0.395194}$。
- 色の差か、実際に組むか(観察 4.1):分離子・論文925・論文847。
結び:ソーマキューブの解は、色の勘定が許す二通りのうち一通りにしか無い。解は向きと位置を区別して $11520$、回転と鏡映で重ねて $240$ で、自分と重なる解は無かった。市松の色の差を持つのは V・T・P だけで、足して $+1$ にする組は T と P が逆向きに分ける二通りあるが、解はすべて T が $+2$・P が $-2$ の組にあり、もう一方に限って探すと解は $0$ だった。分離子は、色の差で数えるか、形を実際に組んで探すかである。既刊との位置:論文925 では変わらない和が許す場所はすべて実際に届いたが、ここでは色の勘定が許す組の半分に解が無かった。論文847 の「重ね方で数が変わる」は、$11520$・$480$・$240$ として現れた。正直に言えば、解の無い組の理由は言わない。色の勘定と実際の探索が、どこまで一致しどこで分かれるか、そこまでである。
参考文献
- Berlekamp, E. R., Conway, J. H., & Guy, R. K. (1982). Winning Ways for Your Mathematical Plays. Academic Press.
- 山岸勇輝 (2026). 『「同じ形」は一つの意味ではない。裏返しを同じと見るかで数が変わる』[論文847]. YOI: https://www.yamagishiyuuki.com/yoi/847
- 山岸勇輝 (2026). 『ペグソリティアで最後の一本が残れる場所は変わらない和で五か所に絞られ、五か所とも実際に残せる』[論文925]. YOI: https://www.yamagishiyuuki.com/yoi/925
作成にあたって:本稿の着想と内容は、著者自身の考察に基づくものです。文章の構成整理や英訳、数式の確認には AI(大規模言語モデル)の助力を得ました。最終的な内容の解釈や誤りがあれば、それらはすべて著者の責に帰します。お気づきの点があれば、ご教示いただければ幸いです。
書誌
山岸勇輝(2026)「ソーマキューブの解は、色の勘定が許す二通りのうち一通りにしか無い」[論文944]. YOI: https://www.yamagishiyuuki.com/yoi/944
日付の証拠(OpenTimestamps):日本語版の .ots・英語版の .ots・SHA256SUMS
予備の置き場所(ミラー。中身は上と同じです):PDF 日本語・PDF English・SHA256SUMS
住所:https://www.yamagishiyuuki.com/yoi/944・CC BY 4.0・プレプリント(査読を経ていません)・ORCID 0009-0006-8587-3450
引用するとき
山岸勇輝 (2026). ソーマキューブの解は、色の勘定が許す二通りのうち一通りにしか無い [論文944]. YOI: https://www.yamagishiyuuki.com/yoi/944
Yamagishi, Y. (2026). Soma Cube Solutions Lie in Only One of the Two Arrangements the Colour Count Allows [Paper 944]. YOI: https://www.yamagishiyuuki.com/yoi/944
@misc{yamagishi2026yoi944,
author = {Yamagishi, Yuuki},
title = {Soma Cube Solutions Lie in Only One of the Two Arrangements the Colour Count Allows},
year = {2026},
howpublished = {YOI: https://www.yamagishiyuuki.com/yoi/944},
note = {Preprint, edition 1}
}
指紋(SHA-256)と確かめ方
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