【論文501】体系の各編が引く相手は、平均の編より 2.15 倍よく引かれている

要旨

自分がよく引く相手は、たまたま目立つ編だったのだろうと思われる。本稿が示すのは、それが偏りではなく、どんなグラフでも起きる恒等式の帰結であることである。超過は分散を平均で割った値にちょうど等しい。新しい定理も法則も主張しない。

第一に、体系の引用グラフで、自分の次数の平均は $\mathbf{11.799197}$ である(第2節)。

第二に、隣の次数の平均は $\mathbf{25.366236}$ で、$\mathbf{2.149827}$ 倍である(第2節)。

第三に、これが本稿の芯である。超過 $\mathbf{13.567039}$ は、分散を平均で割った $13.567039$ に一致する(第2節)。

第四に、全部の次数が同じ輪では、超過が厳密に $\mathbf{0}$ になる(第3節)。

第五に、星では $\mathbf{5.5125}$ 倍にひらく。ばらつきが大きいほど超過も大きい(第3節)。

第六に、分離子は「節点を数えたか、辺を数えたか」である(第4節)。

キーワード:友情のパラドクス、引用ネットワーク、サイズ偏りの標本抽出、ネットワーク科学、論文体系。

射程(何を示さないか)

新しい定理も法則も主張しない。友情のパラドクスも、サイズ偏りの標本抽出も標準的である。社会現象を論じない。人が自分を平均以下だと感じることの心理や、その社会的な影響は主題ではない。体系の質を評価しない。引用が多い編が良い編だとは言わない。数えているのは辺の本数だけである。有向性を落としている。引く/引かれるを区別せず、無向グラフとして扱った。有向のまま扱えば値は変わる。因果を主張しない。ばらつきが超過を生むという恒等式を示すだけで、なぜばらつくのかは扱わない。既刊との関係:論文308 はあなたが乗るバスの間隔が平均の $2$ 倍だと示した。本稿は同じ式が、時間ではなくグラフの上で立つことを示す。論文500 は引用グラフを $498$ 編で測った。本稿は同じグラフを、別の量で測る。論文300 は同根か別根かが判定できると示した。バスとグラフは、対象は違うが同根である。論文481 は分離子が無いと反証の行き先が決まらないと示した。本稿はその分離子を一本書く。加えたのは、体系自身の引用グラフで $11.799197$ と $25.366236$ を出したこと、超過が分散/平均に $6$ 桁一致することを確かめたこと、輪で厳密にゼロ、星で $5.5125$ 倍という両端を出したこと、バスの数列で同じ恒等式を確かめたこと、分離子を節点と辺の数え方に置いたことである。

1. 記法と問い

設定:グラフの頂点 $v$ の次数を $k_{v}$ と書く。頂点を一つ選んで次数を見るのと、辺を一本選んでその端の次数を見るのは、別の標本抽出である。前者の平均は $\langle k\rangle$、後者の平均は

$$\frac{\sum_{v}k_{v}^{2}}{\sum_{v}k_{v}}=\frac{\langle k^{2}\rangle}{\langle k\rangle}
=\langle k\rangle+\frac{\sigma^{2}}{\langle k\rangle}$$

である。以下、体系の内部引用を無向グラフとして読み、この二つを測る。

観察 1.1 自分がよく引く相手は、たまたま目立つ編だったのだろうと思われる。選び方に偏りがあった。直せば消える、という像である。

観察 1.2 だが上の式に「偏り」は入っていない。恒等式である。どんなグラフでも、次数がばらついていれば必ず起きる。

問い:体系のグラフでは、どれだけ超過するのか。

2. 体系のグラフを測る

計算 2.1:番号付きの $499$ 編の引用を無向グラフとして読み、二通りに平均する。

量 値
自分の次数の平均 $\langle k\rangle$ $\mathbf{11.799197}$
隣の次数の平均 $\langle k^{2}\rangle/\langle k\rangle$ $\mathbf{25.366236}$
比 $\mathbf{2.149827}$
次数の分散 $\sigma^{2}$ $160.080160$
$\sigma^{2}/\langle k\rangle$ $\mathbf{13.567039}$
超過(隣 $-$ 自分) $\mathbf{13.567039}$

観察 2.2 隣のほうが $2.149827$ 倍よく引かれている。$25.366236$ 対 $11.799197$、どの編から見ても、引いた相手のほうが平均より上に見える。

観察 2.3 超過が閉じた式に一致する。$13.567039$ 対 $13.567039$、$6$ 桁で一致しており、偶然ではなく恒等式である。

観察 2.4 だから「自分は平均以下だ」という印象には根拠がない。全員が同じことを観測する。比べている相手が、比べ方によって選ばれている。

観察 2.5 分散が大きいほど超過も大きい。$\sigma^{2}=160.080160$、平均 $11.799197$ に対して分散がその $13.6$ 倍あり、次数が大きくばらついている。

3. 両端で確かめる

計算 3.1:ばらつきの無いグラフと、極端なグラフで同じ量を出す。

グラフ 自分の平均 隣の平均 比
輪($12$ 頂点・全部が次数 $2$) $2.000000$ $2.000000$ $\mathbf{1.0000}$
体系の引用グラフ $11.799197$ $25.366236$ $2.1498$
星(中心 $1$・葉 $20$) $1.904762$ $10.500000$ $\mathbf{5.5125}$

観察 3.2 輪では超過が厳密にゼロである。差 $0.000\times10^{0}$、全部の次数が同じなら分散がゼロで、恒等式から超過もゼロになる。

観察 3.3 星では $5.5125$ 倍にひらく。$10.500000$ 対 $1.904762$、中心一つが全部の葉の隣にいるので、どの葉から見ても隣は次数 $20$ である。

観察 3.4 体系はその二つの間にいる。$2.1498$ 倍、正則でも星でもなく、背骨のある構造である。

計算 3.5:論文308 のバスと突き合わせる。間隔 $[1,1,1,1,6]$(平均 $2$)で、乗客が経験する間隔の平均は $4.000000$、分散/平均は $2.000000$ である。

観察 3.6 バスでも同じ恒等式が立つ。超過 $2.000000$ 対 $\sigma^{2}/\langle k\rangle=2.000000$、対象は時間の間隔で、グラフではない。

観察 3.7 間隔が全部同じなら超過もゼロである。$2.000000$ のまま、輪の場合と同じ理由である。

4. 分離子

分離子:数えているのが節点か、辺か。

観察 4.1 節点を数えるなら、平均は $\langle k\rangle$ である。$11.799197$、どの編も一票である。

観察 4.2 辺を数えるなら、平均は $\langle k^{2}\rangle/\langle k\rangle$ である。$25.366236$、次数の大きい編が、その次数の回数だけ数えられる。

観察 4.3 二つは論文300 の基準で別根である。どちらも「引用数の平均」と呼べる。一方は編についての平均、一方は引用についての平均で、何を一単位と置いたかが違う。

観察 4.4 論文308 のバスと本稿は、対象が違うのに同根である。時間の間隔とグラフの次数、どちらも「大きいものほど選ばれやすい」という同じ標本抽出で、閉じた式まで同じである。

観察 4.5 論文500 は同じグラフを別の量で測った。成分・直径・平均最短距離、あちらは繋がり方、こちらは数え方である。

観察 4.6 これは論文481 でいう分離子の一本である。「平均より上の相手ばかり引いている」という観察が問われたとき、選び方が偏っていたのか、単位の取り方が違ったのかで、直す先が違う。

観察 4.7 正直に言えば、有向性を落としている。引く側と引かれる側を区別せず、無向として扱った。実際の引用には向きがあり、有向のまま扱えば「引いた相手の被引用」と「引かれた相手の引用数」は別の量になる。本稿はその区別をしていない。

5. 点呼と結び

  1. 自分の次数の平均 $11.799197$(計算 2.1):$499$ 編で。
  2. 隣の次数の平均 $25.366236$(観察 2.2):$2.149827$ 倍。
  3. 超過 $13.567039$ が閉じた式と一致(観察 2.3):本稿の芯。
  4. 分散は平均の $13.6$ 倍(観察 2.5):大きくばらついている。
  5. 輪では超過が厳密にゼロ(観察 3.2):分散がゼロだから。
  6. 星では $5.5125$ 倍(観察 3.3):もう一方の端。
  7. バスでも超過 $2.000000$(観察 3.6):同じ恒等式。
  8. 間隔が同じなら超過ゼロ(観察 3.7):輪と同じ理由。
  9. 分離子は節点か辺か(観察 4.3):論文300 の基準で別根。
  10. 有向性を落としている(観察 4.7):向きを見れば別の量になる。

結び:自分がよく引く相手は、たまたま目立つ編だったのだろうと思われる。選び方に偏りがあり、直せば消える、という像である。だが $\langle k^{2}\rangle/\langle k\rangle=\langle k\rangle+\sigma^{2}/\langle k\rangle$ という式に「偏り」は入っていない。恒等式であり、どんなグラフでも次数がばらついていれば必ず起きる。体系のグラフを測る。番号付きの $499$ 編を無向グラフとして読むと、自分の次数の平均は $\mathbf{11.799197}$、隣の次数の平均は $\mathbf{25.366236}$、比は $\mathbf{2.149827}$ である。どの編から見ても、引いた相手のほうが平均より上に見える。超過 $\mathbf{13.567039}$ は分散を平均で割った $13.567039$ に $6$ 桁一致し、偶然ではなく恒等式である。だから「自分は平均以下だ」という印象には根拠がない。全員が同じことを観測しており、比べている相手が比べ方によって選ばれている。分散は $160.080160$、平均 $11.799197$ のおよそ $13.6$ 倍で、次数が大きくばらついている。両端で確かめる。全部の次数が同じ輪では自分も隣も $2.000000$ で、超過は厳密に $\mathbf{0}$ になる。分散がゼロなら恒等式から超過もゼロである。星では $1.904762$ に対して隣が $10.500000$、$\mathbf{5.5125}$ 倍にひらく。中心一つが全部の葉の隣にいるので、どの葉から見ても隣は次数 $20$ である。体系はその二つの間、$2.1498$ 倍のところにいて、正則でも星でもない背骨のある構造である。論文308 のバスと突き合わせると、間隔 $[1,1,1,1,6]$(平均 $2$)で乗客が経験する平均は $4.000000$、超過 $2.000000$ が分散/平均 $2.000000$ に一致する。対象は時間の間隔でグラフではないのに、同じ恒等式が立つ。間隔が全部同じなら超過もゼロで、輪の場合と同じ理由である。分けているものは一つ、数えているのが節点か、辺か。節点を数えるなら平均は $\langle k\rangle=11.799197$ で、どの編も一票である。辺を数えるなら平均は $\langle k^{2}\rangle/\langle k\rangle=25.366236$ で、次数の大きい編がその次数の回数だけ数えられる。二つは論文300 の基準で別根であり、どちらも「引用数の平均」と呼べるが、一方は編についての平均、一方は引用についての平均で、何を一単位と置いたかが違う。論文308 のバスと本稿は対象が違うのに同根で、時間の間隔とグラフの次数のどちらも「大きいものほど選ばれやすい」という同じ標本抽出であり、閉じた式まで同じである。論文500 は同じグラフを成分・直径・平均最短距離で測った。あちらは繋がり方、こちらは数え方である。これは論文481 でいう分離子の一本で、「平均より上の相手ばかり引いている」という観察が問われたとき、選び方が偏っていたのか単位の取り方が違ったのかで直す先が違う。正直に言えば、有向性を落としている。引く側と引かれる側を区別せず無向として扱ったが、実際の引用には向きがあり、有向のまま扱えば「引いた相手の被引用」と「引かれた相手の引用数」は別の量になる。本稿はその区別をしていない。

参考文献

  1. Feld, S. L. (1991). Why Your Friends Have More Friends Than You Do. American Journal of Sociology.
  2. Newman, M. E. J. (2002). Assortative Mixing in Networks. Physical Review Letters, 208701.
  3. Cox, D. R. (1962). Renewal Theory. Methuen.
  4. 山岸勇輝 (2026). 『三百本目の点呼、同根か別根かは、判定できる』[論文300]. Zenodo. 10.5281/zenodo.22171914
  5. 山岸勇輝 (2026). 『あなたが乗るバスの間隔は、平均の $2$ 倍である』[論文308]. Zenodo. 10.5281/zenodo.22172305
  6. 山岸勇輝 (2026). 『「法則が破れた」は、どの仮定へも落とせる』[論文481]. Zenodo. 10.5281/zenodo.22733927
  7. 山岸勇輝 (2026). 『第五百回の点呼、体系の作法は一つではなく、それぞれ別の時期に採用された』[論文500]. Zenodo. 10.5281/zenodo.22760262

作成にあたって:本稿の着想と内容は、著者自身の考察に基づくものです。文章の構成整理や英訳、数式の確認には AI(大規模言語モデル)の助力を得ました。最終的な内容の解釈や誤りがあれば、それらはすべて著者の責に帰します。お気づきの点があれば、ご教示いただければ幸いです。

書誌

山岸勇輝(2026)「体系の各編が引く相手は、平均の編より 2.15 倍よく引かれている」[論文501]. Zenodo.
DOI: 10.5281/zenodo.22760270

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引用するとき

山岸勇輝 (2026). 体系の各編が引く相手は、平均の編より 2.15 倍よく引かれている [論文501]. YOI: https://www.yamagishiyuuki.com/yoi/501 ・ DOI: 10.5281/zenodo.22760270

Yamagishi, Y. (2026). Every Paper in the Corpus Cites Papers That Are Cited 2.15 Times Better Than Average [Paper 501]. YOI: https://www.yamagishiyuuki.com/yoi/501; DOI: 10.5281/zenodo.22760270

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